こちらのコーナーでは、『食と生活』にまつわる様々なデータを、『食アド的視点』でご紹介します。

2022年・食中毒発生件数の推移

2022(令和4)年食中毒発生事例
(速報:令和5年1月13日までに厚生労働省に報告のあった事例)

『食中毒患者数』の多いものから表記(降順)

出典:厚生労働省/食中毒統計資料
食中毒発生事例(速報)を元に『食アド®︎総研 編集部』が作成

『食アド®総研』コラム:2023.01.30.

 昨年2022年(令和4)に、厚労省に届出のあった『食中毒発生事件』は全国で「944件」。患者数は「6,405人」となりました。おととしの「事件数717件」「患者数11,080人」という結果と比較すると、事件数は増加したものの、患者数は減少しています。

 例年同様『ノロウイルス』の発生数が多く、発生時期は1月〜4月、12月の多発が目立ちます。やはり、今の季節は特に注意をしたい時期ですね。

  『ノロウイルス』は特に感染力が強く、ウイルスを含んだ微粒子が空気中に舞ったものを直接吸い込んだり、または手指などに付着することも考えられるため、マスクの装着や手指の洗浄は予防において重要だと考えられます。

 昨年の発生特徴に例年とさほど変わりはありませんが、『(4)寄生虫-アニサキス』の発生数が増加しているのが目立ちます。

 寄生虫アニサキス(幼虫)は、長さ2〜3cm、幅は0.5〜1mmくらいで、白色の少し太い糸のように目視できます。サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生することが知られています。

 アニサキスは、寄生している魚介類が死んで、時間の経過とともに内臓から筋肉に移動する傾向があります。生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含む)で食べることで、 アニサキスが胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。2022年のアニサキスの原因食品は主にサバ、しめサバ、イワシ、カツオの刺身などが目立ちました。ちなみに『(11)寄生虫-クドア』は主にヒラメに寄生し、昨年の患者数も多く見られました。『クドア』はとても小さなものなので、目視での確認は難しいでしょう。「−20℃で4時間以上の冷凍、または、中心温度75℃5分以上の加熱により病原性が失われることが確認されていることから 、一度凍結したのちに喫食したり、加熱調理することにより食中毒は防止できると考えられています(厚労省・公式サイトより引用)。」また、農水省・水産庁では、ヒラメの養殖場での適切な管理を実践して、クドアがヒラメに寄生することを防止する取り組みを行なっています。