『食アド︎®︎倶楽部』特別インタビュー
竹内弘光:食生活アドバイザー®公認講師代表
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食アド®倶楽部編集部 定例対談
──進化する『食生活アドバイザー®︎』──
「食と生活の未来をひらく──1級検定創設という新たな一歩」
──編集部──
いよいよ『食生活アドバイザー®︎』の最高峰である1級検定がスタートしますね。
──竹内先生──
1999年に食生活アドバイザー®︎検定を立ち上げて以来、私たちは四半世紀余りにわたり、「食と生活」の現場を見守ってきました。この27年間で、多くの受験者と向き合い、そして累計16万5,000人にもおよぶ食生活アドバイザーを輩出。時代ごとに変わる暮らしの課題、食環境の変化、そして食をめぐる価値観の移り変わりを感じてきました。
その中で、長いあいだ心の中に育ってきた思いがあります。「そろそろ、我々の役割をもう一段、上のステージに引き上げるべきではないか」ということです。
『食生活アドバイザー®︎』という資格は、創設当初こそ“食と生活の入門書”的な立ち位置でした。しかし今は、食育、健康経営、食品衛生、学校・行政・企業の現場など、多様な分野で専門性が求められる資格へと成長しました。社会からの期待も、当時とは比べものになりません。
一方で、現場の最前線に立つ方々からは「もっと深く学びたい」「実務に活かせる力を高めたい」という声が年々増えていました。2級・3級だけでは届かない専門領域が広がり、深まってきたことが、今回の「1級創設」を後押しした理由のひとつです。
──編集部──
四半世紀余りで蓄積された情報が「1級」を形作るのですね。
──竹内先生──
食を取り巻く課題は、健康、栄養、生活習慣、地域、さらにはSDGsまで広がり、単独の知識では解決できない時代になりました。だからこそ1級では、より俯瞰的に物事を捉え、学んだ知識を社会に還元できる“応用力”を身につけ、『指導者の目線で活躍できる人材』になっていただきたいと考えています。そのために、過去情報の蓄積、そして未来を見据えたカリキュラムを慎重に組み立ててきました。
食は身近でありながら、非常に深いテーマです。いま求められているのは“正解を教えてくれる人”ではなく、“生活の中で考える力を育てられる人”。1級検定が、そんな人材を育てていく場になればと願っています。
──編集部──
1級検定の登場とあわせて、2級・3級の内容も刷新されたと伺いました。
──竹内先生──
1級創設にともない、その基礎となる「2級・3級」も今の時代に即した形へ整える必要がありました。今回の刷新では、近年重要性が増している「生活習慣」「栄養リテラシー」「社会課題としての食」などの領域をより分かりやすく整理し、実生活や現場で“すぐに役立つ知識”を重視した構成に見直しています。
また、将来的に1級へ進む方にとっても、段階的に力を積み上げられるよう、3級は基礎の定着、2級は実務的な応用力へと役割を明確にしました。『食生活アドバイザー®︎』が時代に合わせて進化し続けるための、大切なアップデートだと考えています。
──編集部──
そろそろ『30周年』の足音も聞こえてきました。
──竹内先生──
2028年で協会発足30年目を迎えます。この長い時間を支えてくださった受験者の皆さん、現場で活躍されている食生活アドバイザー®︎の皆さん、そして多くの関係者の存在が、私たちをここまで導いてくれました。
30年という節目は、単なる通過点ではありません。社会の変化を受け止めながら、「食と生活のライセンス」としてどう成長していくべきかを改めて問い直す時期でもあります。だからこそ「1級」を立ち上げ、「2級・3級」も刷新し、新しい土台づくりを進めました。
これからの「食と生活」は、より複雑で、さらに個別化していくでしょう。その中で、人々の暮らしに寄り添い、「食べる」を生活の視点で考え、提案できる存在として、また『食生活学』のスタンダードになることをめざし、知識と実践力を究める資格でありたいと思います。『食生活アドバイザー®︎』が、次の30年も社会に必要とされ続けることを心から願っています。
