コラム:『旬の食べもの』について考える

旬の『夏シジミ』を考察

 海水の入り混じる所に棲むヤマトシジミは夏が旬。とくに土用のころがおいしく、「土用シジミ」といわれています。 一方、河川の上流や湖沼に棲む マシジミは、「寒シジミ」と呼ばれ、旬は冬。寒さに耐えるために栄養が豊富ともいわれています。

 「土用のシジミは腹薬」「シジミの味噌汁は肝臓によい」「シジミは黄疸に効く」 などと昔からいわれてきましたが、その根拠は、(1)アミノ酸の一種タウリン、メチオニン、シスチンを含んでいる(2)グリコーゲン、コハク酸、ビタミンB12など肝機能を強化する成分が豊富(3)肝機能を強化し黄疸を改善するオクタデセン酸が多く含まれる(最近の発見) といったことが挙げられます。

 シジミは殻つきのまま汁ものにし、うまみと栄養分の出た汁と一緒に味わうのが一般的です。 味噌汁に良く合うのは、味噌に含まれる種々のアミノ酸と一緒になると、さらに理想的なアミノ酸構成になる上、味噌の消化酵素がシジミの消化を助けるためです。昔から「酒飲みにはシジミ」などといわれるほど、味噌との相乗効果が期待できるシジミの味噌汁は、二日酔いの朝などに最適です。シジミは多少クセがあるので、辛口味噌を使 うとよいでしょう。むき身は、和え物や炊き込みごはん、佃煮などに利用できます。

 シジミにはその他、ビタミンB2、カルシウム、鉄など、日本人に不足しがちな栄養素が多く、なかでも鉄は、シジミ100グラムで約1日分の摂取量が補えるほど。貧血気味の人は積極的に摂りいれると改善につながります。また、シジミの味噌汁は「産後の母乳の出をよくする」ともいわれています。

 シジミは、殻が薄くてツヤがあるものが良品です。 触れると勢いよく口を閉じるのは新鮮な証拠です。