2026年 春号

竹内 澤さんこんにちは。今日は3.11、しかも15年目の節目の日です。澤さんは、神戸にも住まわれていましたし、結婚して今は仙台に住まわれて、旦那さんは福島に赴任しておられます。東日本大震災直後のワールドカップドイツ大会にキャプテンとして望み、優勝されました。いろんな思いがあるのではないでしょうか。

 先生こんにちは。震災があった神戸と仙台に住むことになったり、2011年のワールドカップや2012年のロンドン五輪を戦ったり、少なからず運命や宿命を感じるのは事実です。実は私、阪神淡路大震災の1週間前も、友だちを訪ねて神戸にいたんですよ。

竹内 そうなんですね。鳥肌が立つような話です。本日は、ワールドカップドイツ大会のチーム内であったお話や、今お住まいの仙台の方のお話などを、思い出して辛い部分もあるとは思いますが、お聞きできればありがたいです。

■今日は3.11。目を背けないで伝えていかなくては

 3.11当日は、なでしこの遠征でポルトガルから戻った日で東京の実家にいました。東京も震度5強で、食器棚が倒れそうなのを母が必死で押さえて、余震も怖かったのを覚えています。震度6とか7だった東北の方は、その何倍も怖かったと思います。

3.11のあと国内合宿やアメリカ遠征などがありましたが、東北のチームに所属する選手たちもいて、帰れないし、チーム関係者や友人・知人も被災しているしで、「自分たちはサッカーをやっていていいのか?」という空気でした。それが次第に、「自分たちに何ができるか?」「サッカーで何ができるか?」という話をするようになりました。

ワールドカップの試合の前にビデオで震災の様子を見て、みな声を出して泣いて、いろんな人の思いを胸に戦いました。勝つにつれて日本から「元気をもらった」との声が届くようになりましたが、本当に逆で、辛いなか頑張っておられる被災地の方々の姿が、私たちの背中を押してくれている感じでした。

竹内 私もこの事務所で、倒れそうな書棚を押さえたり、閉じ込められないよう窓やドアを開けたりしていました。強く長い揺れで怖い思いをしただけでなく、電車が止まってしばらく出勤できなかったのを覚えています。関連死も含めて22,000人が亡くなって、未だ2,500人が行方不明、近年は富士山の噴火にも注意が促されているにもかかわらず、東京の人は15年で防災意識が希薄になっている気がします。

 娘は大震災後の生まれですからその怖さを知りません。今日学校では2:46に黙祷して、いろいろ話もあったようです。帰ってきたら、何か起きた時の行動や待ち合わせなど、再確認したいと思います。

防災リュックは用意していて、一度やや強めの地震があったときに、枕元に置いて寝たことがあります。でもリュックの中身が2人分しかないことがわかって、急いで買い足しました。

ママ友などから、ライフラインが止まって困ったとか、津波がここまできたとか、震災時の話を聞くことがあります。身近な人が逃げ遅れたとか・・・。目を背けないで、風化させないで、伝えていかなくてはいけないと、改めて今日思いました。

■新たな生活環境に素早く順応するには?

竹内 澤さんは神戸や仙台だけでなく、アメリカに住んだことや、長期間の海外遠征も多かったと思います。新しい環境や知らない国にどのようにして順応していましたか? 春は進学や就職などで生活環境が変わる人も多いので、ぜひアドバイスをください。

 仙台に来た時も夫しか知人はいなかったのですが、どんな街か知りたくて積極的に出かけました。どんな人がいる? 何がある? 楽しいところは? そして、どんな美味しい物がある?(笑)と、自分から意識して変わるいいチャンスだなと思って順応してきました。

先週も海外に行って、戻ったばかりで時差ぼけも少しはありますが、よく眠れています。体質なのか性格なのか、どこでも寝られて何でも食べられるので苦労は少ないです。

竹内 そういえば、苦手だったパクチーを、タイに行って食べたら大好物になったとおっしゃってましたね。

 そうそう。先日娘が「パクチーにチャレンジしたい」と言い出したので、食べさせました。そしたら「ドクダミだー!」といってさすがに降参でした。ドクダミは小さいころに手にとって匂いを体験させたことあるのですが、先生もパクチーはそんな感じですか?

竹内 娘さんの気持ち、よーくわかります!(笑)

とはいえ「春の皿は苦味を盛れ」と言われます。山菜、セロリ、菜の花、春菊、筍・・・春の代表的な食物は少し苦みがあって、アルカロイドやポリフェノールが入っています。植物が寒さに耐えて栄養を蓄えたり、解毒作用があって虫除けになったりするんです。

 お昼にセロリを食べたんですが、甘いセロリでした。

竹内 最近はえぐ味を押さえた甘いセロリが出ていますね。セロリの葉っぱを食べない人が多いのですが、実は茎より葉っぱの方がビタミンA(β-カロテン)が2倍含まれているんです。油で炒めるとさらに吸収されやすくなりますよ。

 ぜひ、明日やろうっと。葉っぱも食べます。

今日、デパートのアスパラが少し高かったので買わなかったんですけど、おいしそうでした。

竹内 アスパラも、春キャベツ、新じゃが、新玉ねぎなども今が旬で一番栄養価高く、美味しいです。

 デパートは値段は高いけど、旬はよくわかりますね。貝やコハダも美味しそうでした。おいしそうなイチゴも買ってきました。

竹内 イチゴといえば、宮城県の山元町や石巻を中心に栽培されている「もういっこ」や「にこにこベリー」という品種は、輸出もされていて、東南アジアや香港で大人気なんですよ。特殊包装と低温コンテナを使った船便での輸出は日本初だそうです。

イチゴはいま品種改良が進んでいて、次々と新しい品種が店頭に出るようになっています。有名な「とちおとめ」も、より大粒で甘い別の品種に転換されているんですって。

■家ご飯を食べないサッカー少年の母の悩み

 久々に子育てママからの相談をいただきました。

「楽しくサッカーをやっている小2男子ですが、食が細く、やせっぽっちで当たり負けしがちです。学校で給食は食べるのに、家のご飯をあまり食べてくれません。なにか改善方法があればアドバイスください」

なるほど、小学生男子の4割近くがやせっぽっちだそうですから、サッカーを続けて練習強度が上がると、自然とお腹が空いて食べるようになる気がしますが、ごはんを作っているママとしてはショックですよね。

理想としては、サッカーをうまく強くなりたいなら、体をつくる食事は大切なんだよということを、ちゃんと話をして、理解して食べてもらうことですね。

竹内 澤さんのように、ご家庭の食事が楽しい場になるよう工夫することもヒントですね。

 私は中学校のころですが、朝食、昼食、練習の前と後の補食、家に帰ってからの夕食と、1日5回食べていた時期があります。学校とサッカーの間や練習後に、ついお菓子を食べ過ぎたりしていないかなど、食べるものやタイミングを見直してみるのもいいかもしれません。

ちなみに写真は小学校3年生のときの私です。

■「新幹線で食べなよ」とおにぎりが・・・

竹内 今回も美味しそうな夫飯の写真がありますね。どういうときのものですか?

 私が仕事から家に戻ってきたら夫が用意してくれていました。ロールキャベツ、牡蠣グラタン、牛すじカレーと大好きなものばかり3品、同じ日にです。娘と3人で食べました!

 もうひとつあります。仕事で福島に行く機会があって、娘は母が見てくれてたので、その日は夫の家に行きました。翌朝、次の仕事で東京に向かう私に、新幹線で食べなよと、炊き込みご飯のおにぎりを2つ用意してくれたんです。すっごくうれしかったです♡

竹内 以前、澤さんがメッセージおにぎりで裕章さんを励ましていたエピソードは聞いていましたが、逆パターンもあるのですね。相変わらず愛しあっていますねー。

次回も楽しみにしています!!

 こちらこそ。今度は福島でお会いできるといいですね!

(写真提供:澤 穂希)