2024年7月号

こんにちは! 夏間近というか、すでに暑い日々が続いていますが、皆さまお元気ですか!? 四季のうち夏にだけ「夏バテ」という言葉があるくらい、この季節は食欲が落ちたり、つい冷たいものばかり口にしたりしがちですが、食生活アドバイザー®としてどう夏に向き合えば、適切な健康管理やアドバイスができるか、竹内先生といっしょに考えてみます。先生、よろしくお願いいたします!

夏は「汗をかく」「唾液を出す」「内臓は冷やさない」

竹内 はーい、こんにちは! 最近テレビでよく澤さんをお見かけします。しかも家族の食生活や子育てといった、まさに食アド®トークをしているようなシーンが多く、「食生活アドバイザー®」を名乗ってくださることもあります。食アド®を広めていただきうれしい限りです。ありがとうございます!!

テレビ番組でも紹介された澤さんがご夫婦でつくった料理

テレビといえば、まだ発表はできないんですが、ある番組のロケで美味しいうなぎを食べてきたんですよ! 

竹内 それはうらやましい! うなぎは栄養価の宝庫で、点滴の成分と同じビタミンB1が豊富で、疲労回復や集中力アップにもってこい。夏バテ予防には最適ですね。

夏バテ対策として食アド®が気をつけたいポイントはなんでしょうか?

竹内 3つあります。「汗をかく」「唾液を出す」「内臓は冷やさない」。

 まず「汗をかく」ですが、現代人はあまり汗をかけなくなっているのです。汗を出して、身体の表面で蒸発するときに身体の熱を奪うことで体温を下げています。ですから、暑いのに汗をかかないと熱中症になります。汗腺は筋肉と同じで、長く汗をかかないでいると機能が衰えるのです。薄っすらでも汗をかくくらい身体を動かすことが大切です。

私はほぼ毎日、1時間くらいは走っていますので合格ですね。不覚にも子どものサッカー教室で肉離れをしてしまい、いまはウォーキングですが(笑)。カレーなど香辛料や唐辛子の入った料理を食べるのも、発汗作用を高めてくれますよね。

竹内 次の「唾液を出す」ですが、運動をして汗をかくと口の中は乾きますよね。唾液の分泌量が減ってしまうからです。実は唾液の量ってすごくて、運動してダラダラ汗をかくのと同じくらい出ているんですよ。唾液が少なくなると口内炎や虫歯になりやすいのはもちろん、最近の研究によると、虫歯が多い人は将来認知症になりやすいのです。

なるほど。そこは理解できましたが、意識的に唾液量を増やすにはどうすればいいのでしょう?

竹内 なるべく同じ時間に、ゆっくり(よく噛んで)食事を摂ること。現代人はあまり噛まなくなっているので唾液が出にくいのです。現代人は昔の人と比べて顎がシュッと細くなってますよね。噛む回数が減ったからなんです。

ガムを噛むのでもいいですか?

竹内 ガムは歯には良いのですが、ずっと噛んでいると唾液が出すぎて食欲が落ちちゃうことがあるので、そこは要注意です。

 3つめの「内臓は冷やさない」。一時的に冷やすのは気持ちいいのですが、冷やし続けると手足といっしょで、消化機能が落ちてしまいます。そうすると下痢や便秘になりがちです。ですから最近は、夏なのにあえて常温で売っているお茶や水がありますよね。それは理にかなった売り方なんですね。

それはできている気がします。子どもの頃から今まで、クーラーはあまりつけないで生活をしています。家が風通しがいいと、それで十分なんです。夏でも温かいそばや野菜の煮込み的な料理を食べるのが好きですし。

気になる食品添加物の記載をどう読む?

竹内先生は、食品の裏の表示を見て、これが入っていたら口にしないという添加物のようなものはありますか? 私は、家の近くに無添加食品のお店があって、少し値段は高いけども安心できるので、なるべくそこで買うようにしています。他のスーパーなどで買う場合も裏面の食品表示を見ていますが、わかりにくいものもあります。

竹内 私は個人的には、着色料や発色剤で色を鮮やかにしたり、逆に自然に近くする目的でくすんだ色にしたりしている食品はできるだけ口にしないようにしています。また、人工甘味料にも注意が必要です。

 食品表示を見るクセをつけるのは大変良いことで、食アド®ではずっと推奨しています。ただし、最近は「保存料」というような明らかな添加物の名前が書いてあることは少なくなっているんですね。わかりやすい例が、お茶の添加物として表示されている「ビタミンC」。これは酸化防止剤としての機能を持ちますが、お茶にはもともとビタミンCが入っていて、それを栄養強化する目的で添加する場合は添加物の名称ではなく「ビタミンC」と表示していいことになっているのです。食べ物の場合は「ビタミンE」が栄養強化で補充されていることが多いです。ビタミンCやEが身体に悪いわけではありませんが、同様に添加物とわからない形で用いられている場合もあるわけです。

日本で許可されている添加物は外国に比べて圧倒的に多いですが、基準が甘いのでしょうか。国によって食品添加物の定義や基準が違うので単純比較はできないでしょうが。

竹内 ざっくり言えば日本は甘いかもしれません。たとえばアメリカでは、FDA(食品医薬品局)という政府機関が食品も医薬品も同じ視点で基準が作られているため、添加できる物の数は限られています。またEUでは飲料水に対する衛生基準が非常に高いです。日本では比較的どこでも水がきれいだったのでそうしたものはありません。国や地域によってこだわるところが違うとも言えます。

 ただ言えるのは、食品流通のためには添加物が欠かせないんですよね。日持ちする、見た目や食感が悪くならない、それによって加工食品がどこでも食べられるようになったわけです。身体のためには摂らないに越したことはないので、添加物は省略しないで全部書いてありますから、よく知らない名前がたくさん書いてある場合は買わないという判断もあると思います。

澤さんが購入した無添加食品の一部

澤穂希ならではの夏対策は?

竹内 ほかに澤さん独自の夏対策はありますか? あれば、ぜひ教えてください。

水分補給には、発酵生姜シロップを炭酸水で割って飲んでいます。最近よく食べるのはラズベリーなどのベリー類。そして父が手作りしているトマトを煮込んだものなどです。

竹内 炭酸水はカラダの中で活性化するので水よりもおすすめしています。それから生姜は夏も冬もいいんですよ。夏は熱を冷ましてくれて、冬は逆に身体を温めてくれます。水を含む水分はがぶ飲みしすぎると水中毒になることもあるので、1回の量はコップ1杯で、1日に約10杯、1.5〜2リットルが適量です。

 ベリー類は食物繊維、ビタミン、ミネラルの宝庫で、おすすめの旬のものですね。モモやスイカも水分補給と同時に代謝を整えてくれるカリウムが豊富でおすすめです。お父さんのトマトは夏の定番ですね。それを煮込んで食べる。澤さんはすでにやっていますが、温かい料理を食べて、汗をかいて、唾液を出して、夏を乗り切りましょう!

はい! 今日もいろいろと教えていただきありがとうございました。知識としては知らなかったけど、そういえば、夏バテはしたことないかもしれません。

(写真提供:澤穂希)